桜こうの空想2分の1

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zoom RSS 思い出の怪談

<<   作成日時 : 2009/08/14 20:06   >>

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 夏ということで、ふと思い出しました。オチがない普通の怪談っぽい話です。

 あれは桜が高校のとき。
 そのころ桜は柔道部に入っていて、夏の合宿が合宿所でありました。
 そこには屋外プールがあって、稽古の合間を利用して遊んでいたのです。

 そのときプールの中にいたのは七人。
 桜はたまたまAくんと一緒に、プールサイドに座っていました。
 稽古で疲れているはずなのに、みんな結構元気にはしゃいでいます。
 不意にAくんが立ち上がり、プールに向かって叫びました。
「足首で我慢しろ!」
 Aくんは普段は大人しい生徒です。意味もわかりません。
 でもそれからAくんは、必死にみんなにプールから上がるように訴え、その雰囲気に呑まれたように誰もがプールから出ました。
 みんなはAくんに訳を訊きましたが、彼は決して答えませんでした。

 合宿所で起きたのはそれだけです。
 でもその後一か月の間に、あのときプールの中にいた七人の部員のうち、五人が足首の骨にひびが入ったり、くじいたりして、怪我を負いました。
 それでもAくんはなにも話しませんでした。

 桜が、Aくんからあのときなにがあったのか聞いたのは、部活を卒業したあとでした。
 帰り道に一緒になり、ふと思い出して尋ねてみたのです。
 Aくんは渋々といった感じで話してくれました。
「プールの中から首をくれ≠チて声が聞こえたんだよ」
 マジ?
 首を持っていかれたらたまらない。だからAくんは、とっさに叫んだのです。
足首で我慢しろ!

 桜は霊感とかないので、この手のことはよくわかりません。
 でも部員たちが足首を怪我したのは事実だし、Aくんは嘘をつくような生徒ではありませんでした。
「こんな話したら、ひかれるだけだし」
 Aくんは少し寂しげに笑い、それから悔しそうに言いました。
「あのとき足首じゃなくくびれ≠ノしとけば、みんな、怪我しなかったのかもなあ」
「……」
 ああ、たしかにごっつい柔道部員の身体にくびれ≠ヘないし。幽霊も困っただろうね。

 そんな、思い出の怪談でした。 

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